「ねぇ、今回の尚吾役、あたしでよかったら協力するよ?」


ニコッと笑った。


「お前に何ができるって?」


冷たい言い方だなぁ。


「さっき言ったじゃん?!あたしこの原作の熱烈なファンだって。尚吾にかけては、誰よりも知り尽くしてるつもりだし。」


「だから?」


「誰がどう見ても、完璧な尚吾にしてあげる!!」


「なんだよそれ?」


やっと笑ってくれた。


「ひとつひとつ小さなことの感情までみっちり教えましょ♪」


床に投げ捨ててあった台本を拾い上げると、ポンと指で差した。


「なんでそこまで…。」


「だって、原作のモデルに城金兄が入ってるけど、それを打ち破るくらいみんなに衝撃与えて、この役は七瀬しかいないって思って欲しいじゃん。」


「…わかった。」


まだ、納得してない?


「よし!!」


得意気に笑った。


「ありがとう。」


スッと七瀬が手を差し出してきた。


「えっ?」


なに?この手は?


「映画が成功したら、写真消してやる。奴隷生活も開放でどう?」


ウソ?


まさかの展開に。


少し驚いたけど。


「その話のった!!」


ガッツリ七瀬の手を掴むと、お互いに力強く握手した。