「残念。オレはアニキのお古に手を出すほど、物好きじゃないんでね。」


耳元で囁(ささや)いた。


パッと目を開けると、七瀬がニヤッと笑ってる。


あたしをからかって楽しんでるわけ!?


どこまで性格歪んでんのよ!!


口が金魚のようにパクパクと、ムカつきすぎて言葉にならない。


「お古って…。あたしと城金兄は、何にもないです!!!!!」


歯を食いしばりながら、力いっぱい答えてやった。


「相手にされなかったじゃなくて、手を出してもらえなかったの間違いじゃねえの?」


心の中で回し蹴り炸裂!!


韓国まで飛んでいった光景が見えた。


「失礼なこと言わないで。アンタの周りの女みたいに、頭カポ~ン!お股パカ~ン!なバカ女と一緒にしないで!!」


「なんだと?」


ピクリと眉が動いた。


「だってそうでしょ?あんたの周りには、自分の中身を見てくれるんじゃなく、外見がいいとか、地位や名誉があるってだけで寄ってきてるバカ女だらけじゃん!!そんな空っぽの女達に騒がれて満足してるだけでしょ!?」


「おまえなぁ!!」


グイッと胸倉を掴まれた。


それでも怯(ひる)むなんてしない。


思いっきり七瀬をにらみ上げた。


「自分の周りには、自分と似た人間が集まってくるって言うし。空っぽな人間は空っぽなお友達と仲良くしてて下さい。あたし、仕事があるんで失礼します。」


バッと手を払いのけると、七瀬を押しのけてツカツカと歩き出した。