「マキ。どうしたの?」


振り向くと、ニッコリと笑顔で立ってる。


「差し入れ?」


ケーキの箱を差し出した。


「そう。黒崎なら会議に行っちゃったんじゃないかな?」


「そうですか。」


シュンとなっちゃって。


「そうだ、ちょうどいい所に来た。マキさぁ、七瀬とリハーサルとかした時、何かおかしな様子はなかった?」


心当たりを探ってみるしかないわね。


「七瀬ですか?う~ん。体調不良で来てなかったし。七瀬ってより、城金龍翔から面白い話聞きましたけど。」


「なに?」


「伊吹が黒崎の子供を妊娠したって、七瀬から聞いたって。あり得ないからとは思ったんだけど、あの約束があるから、流して聞いちゃいましたけど。」


「それって、いつの話?」


「七瀬の記事が出た後かな?」


まさか…。


それが原因じゃないだろうけど。


「そう。」


「まぁ、そんな話聞いちゃえば、体調不良にもなちゃうよね。」


笑いながら言った。


「ちょっと、それどういうこと?」


なんで、宮元が妊娠して七瀬が体調不良になるの?


「え?!知らなかったんですか?伊吹と七瀬のこと…。」


急にマキの表情が固まった。