「だから、本当にさよならなんだ。」


振り向いて七瀬の顔を見上げた。


今まで見せたことのない最高の笑顔で笑った。


「伊吹…。」


動揺してる七瀬に一礼すると、そのまま部屋を出て行った。


泣かないって言ったら嘘。


泣きたくて早く部屋を出たかった。


足早にマンションを出ると、タクシーに乗り込んで泣くだけ泣いて事務所に戻った。


だって、電車だと泣き顔見られちゃうから。


タクシーの運転手さんは少し驚いてたけど。


何も言わずに車を走らせてくれた。