「藤原さんだったら、それが尚吾の唯への気持ちなんだから!!役にはまり込めるじゃない。しっかり仕事しろ!!って言うのかと思ってました。」


「それは、どういう意味かな?」


電話越しに、少し笑ってるのが分かる。


「意味なんてないです。藤原さんには失恋って言ってないですしね。」


「言えないだろ?相手聞かれたら困るのは2人だから。ああ見えて、宮元さんを守ってるんだよ。」


「守ってる?」


「うん。もし、藤原さんに宮元さんに失恋しましたなんて言ったら、どうなると思う?」


「そりゃ、殴り込みに来るでしょうね。大事な時にメンタル落とすなって。」


「それだけ?」


「芸能部に2度と出禁かな?」


「仕事もしづらいだろうし。まして、その話が他に漏れたら?何を週刊誌に書かれるか分かんないだろ?そういうのを考えて誰にも話してないんだよ。」


「振られた相手に、気なんか使わなくていいのに。」


ボソッと言ったはずなのに。


「好きだからだろ?好きじゃなかったら、そこまでしないよ。」


聞こえてたんだ。


「でも、あたし黒崎と別れるつもりなんてないですから。」


「知ってる。だけど、さっきの言葉で七瀬を応援したくなってね。」


「さっきの言葉ですか?」


何か言ったかな?