「だいたい、七瀬とは始まってもいませんでしたから。」


莉南さんに聞いてるんでしょ?


「七瀬は始まってたし、今も出口が見えてなくて、苦しんでもがいてるよ。」


「それは…。」


あたしだって、本当は苦しいよ。


でも、あのまま七瀬といたって、平行線のままだし。


早い方が傷は浅くて済むから。


こんなこと言えないけど。


「最近さ、藤原さんも頭を抱えるくらい荒れちゃって。さすがに、宮元さんに失恋しましたなんて言えないだろ?」


「そうですけど…。」


あたしだって荒れたいわよ。


「いつ、スキャンダルになるか?って困ってるらしい。変な話、乱交・薬物騒動起きてもおかしくないくらい。」


「それって、あたしに何とかしろって言うんですか?」


「そうじゃないよ。ただ、七瀬の気持ちを分かって欲しくてさ。まっすぐな分、道がなくなったらどうしていいか分からないんだ。人には言えないし…。」


あたしだってそうだよ。


でも、なんとか出口見つけなきゃ、前には進めないの分かってるから。


もがいて…


もがき苦しんで。


それでも、なんとか出口を見つけようとしてるんだよ。