たしか心理学で『好きなんでしょ?』って言われ続けると、本当に好きになっちゃうって聞いた覚えがある。


その作戦か!!


それで好きって言わせて、からかうつもりなんだ。


絶対に言わない!!!!!


フイッと顔をそらした。


心臓の甘いドキドキも、一瞬にして治まった。


それと同時に、キュンと淋しさに似た切ない気持ちが鼓動を打ち始めた。


「からかって楽しいでしょうね。」


つぶやいたにしては、冷たすぎる言い方。


「誰がからかってるって?」


あたしの肩を掴むと、七瀬の力が強くて痛い。


「七瀬。どうせ、いつもみたいに、反応楽しんでるだけでしょ?」


「楽しいよ。伊吹のいろんな顔が見れて。」


とうとう白状したか。


ハッキリ言われたから?


スッキリじゃないの?


心が痛くて、涙が出てきそう。


悲しいのは、からかわれてバカにされてたから?


「それは、さぞかしいい暇つぶしになったでしょうね。」


涙でそう…。


「いい暇つぶしね…。暇つぶしだったら、前の自分がうらやましくなんかならないよ。」


七瀬の視線が、どこか淋しそうに思えた。