昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

自分でもわからへんけど。旅行ん時からずっとモヤモヤしとって、実際に優子の顔みたらつい言うてしもてん。

家に入ってまだ一分経ってへんゆうのに。


優子はひととおり驚いた顔をしたあと、戸惑ったように視線を泳がせる。

俺が真剣やから、いくらなんでも友達としてやないってわかったみたいや。


正直自分でも内心、心臓バックバクやった。

なんで言ってしもたんやろ。普通告白ってもうちょっと考えてさぁ…タイミングとかシチュエーションとか。

うわー…せめてカレー食ってからにしようや自分。めっちゃ湯気立ち上ってる。めっちゃ美味そうやし。半熟卵乗っとるし。

でも、知ってほしかったんも事実っちゃ事実や。

ちょっとくらい男として見てほしいゆうのもあってん。


…わかっとる。優子の気持ちなんて。


でもなんか、なんか言うてや優子。


俺今だいぶいっぱいいっぱいやねんか。


優子が顔を上げる気配がして、穴があくほど見つめていたカレーから目を離す。


優子と目があって。



優子の口が、開いた。



「え……元カノは?」

「ああ、元カノ……ていつの話しとんねん!!」


…思わずノリツッコミしてしもた。

何でやねん。何で元カノとか出てくんねん。今でも俺が好きやとか思てたわけか、優子は。


(あーあ…)


わかってたけど。

ホンマのホンマに、気づいてへんかったんやな。


同じ学科の子から付き合っとるん?て聞かれるんは、ただよく一緒におるからやないと思う。

わかるくらいに、俺から好きや〜ゆうオーラが出てもてるねん。きっと。


「…優子」

「ん、…ん?」

「とりあえずカレー食ってええですか…」

「い…いいとも!!」


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