昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

ウチがちょっと沈んでたら、


「ほなさくらと俺で買い出ししてくるわ〜」


とかゆうてかっちゃんが立ち上がった。

普段からデカいけど、座っとる状態で見上げたらさらにデカい。


「なんか欲しいモンある?」

「……シーチキンのおにぎり…」


…いつもの定番を頼んでしまうあたり、ウチも残念やわ。


かっちゃんは浴衣のまま部屋を出て行った。

さくらちゃんは、嬉しそうにピッタリかっちゃんの横に寄り添ってた。



いきなり人数が二人に減って、部屋がシンとする。

テレビの音が妙に間抜けに聞こえる。

風間が体操座りして、体をこっちに向けた。


「…今、優子がなに考えとるか当てたろか」

「…なによ」

「はよ帰りたい。…違う?」


悪戯っぽく笑って、でも風間の笑顔は苛立つモンとは違って。なんか優しかった。

口をつぐんで黙ったら、足先でウチの足をつつく。


「…アホやなぁ。なんで旅行オッケーしてん」

「うう…」

「泣きそうな顔せんの」


風間が困ったみたいに笑うから、泣きそうになった。

風間の前やと我慢が効かんていうか、気がゆるんでもてアカンわ。

気持ち切り替えようとして、わざとおっきい声出した。


「…あーあ!もうな、いい加減諦めなアカンなって思たわ!!」

「……」

「だいたい、さくらちゃんみたいに可愛い女の子にどう考えたってウチがかなうわけないもんな!も〜あのまま二人帰ってこんかったりして…」


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