可愛い女の子が作った本命チョコはこんな味なんか…。
同じ女ながらにそんな寂しい感想を胸に、唇についたチョコを舐めた。
その瞬間。
「────!!」
かっちゃんの顔が目の前にあった。と思ったら、
世界が、ひっくり返った。
ゴン、頭に響く鈍い音。
「〜い…っ!!何すんねんお前──」
「だってゆうがエロいねんもん」
「どこがエロ…っ…」
言葉ごと押さえ込むみたいに、かっちゃんに唇を塞がれた。
コタツに埋まった下半身の熱が、頭にも上る。
…この万年発情期男はいつでもどこでもスイッチが入るんか。
その相手をせなアカン身にもなってみろって話や。
「……はっ、」
唇の間から漏れる息が熱い。
かっちゃんの指が乱暴にウチのセーターを捲り上げる。
そんな無理やり引っ張ったら伸びてまうやんか。まだ二回しか着てへんのに。
やっと唇が離れた。
かっちゃんと目が合った。
「〜っ、約束と…ちゃう、やんか…!!」
「約束?」
「…彼女おらん時だけって…っ、」
ぐわって一気にセーターを脱がされた。そのまま勢いよく首筋にかぶりつく。
エサに餓えたライオンみたいに。
行為を始める時のかっちゃんの癖や。
噛みつかれた首がチリっと痛くて、アゴに当たる髪の毛がくすぐったかった。
「かっ…」
「おらんよ。さっき別れたし」
「さっきて…」
「うん?二時間くらい前」
ホンマ最低やな。
そう言ったらかっちゃんはちょっとだけ笑った。
彼女と別れて二時間後には別の奴とセックスをする。しかもイトコ。気持ち良かったら誰でもええんか、お前は。ホンマ最低やわ。
きっと彼女と別れた理由も、しょーもない浮気がバレたとか合コン行きまくっとるかっちゃんに彼女が愛想つかしたとかそういうのやねん。



