昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


なかば半ギレで、半泣きで叫んでしもた。

かっちゃんはほんまにびっくりした顔で、言葉を失ってる。


あー…。アホ。最悪。好きなんはウチの方やのに。何を言うてんの。


自分のやから見えへんけど、多分顔はぐちゃぐちゃでひどいことなっとる。

一世一代の告白は、もっと男前に決めたろて思てたのに。男前って変か。ほな女前?



…もうそんなん、かっちゃんの前じゃ余裕ない。




「…言えばええの」


かっちゃんの手が伸びてきて、乱暴にウチの頬をぬぐった。

思わずビクッと肩が跳ねる。やけど構わず、かっちゃんの手はもっかいウチに伸びてきて。


親指が頬のでっぱったとこから、すっと下って、


唇に、触れる。



「…好きって、言えばええの」

「………」

「そしたら許してくれんの」

「そういう問題やない…っ」
「─好きや」




かっちゃんの声に、息を呑んだ。




たった三文字に、信じられんくらい身体が震えた。




「好きや」

「────っ、」

「好きや、ゆう」


かっちゃんの手が、後頭部に回る。

かっちゃんの。ウチを押さえつけることも、壊すことも、包むこともできる、おっきな手。




「ずっと俺だけのもんでおれや……っ」