昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


体を蝕む勢いで。今まで体験してったどのドキドキよりも、たちが悪い。


ずるいと思った。


かっちゃんは、ずるい。


いつだって、そのどうして?の答えをウチに託そうとする。

いざとなったら逃げてばっかのくせに。

いっつも、ウチにばっか言わせるくせに。

ほんでウチが逃げたときは、いつもこうして捕まえるくせに。


「──────っ、」


ずるい、かっちゃん。

こんなにも切ない顔で見つめられたら、ウチは弾けとんで死にそうや。



「…なんでやと思うん」



悔しいから、睨んだまま口を開いた。かっちゃんと正面から向き合うとき、なんでかいっつも負けたないって気持ちが前に出る。


「え?」

「やから、なんでやと思うんって」

「……わからん」

「…………」

「…わからんって言うとるやんけ」

「なんでちょっと逆ギレやねん」

「別にキレてへんわ…やから、俺は────」




…もう、辛抱たまらんかった。



繋いだままの手を引き寄せて──キスをした。

キスっていうより、おもいっきしぶつかった。衝突。ゴチーン。


キレとったんはウチの方。キレとったゆうても、怒るとか、そういうんやなくって。



触れたくて、触りたくて、混じりたくて、しゃーなかった。



「痛っ……なに」
「好きって、言えや…」


そんなもん、ウチやって痛いわ。


「は……」
「ウチのことが好きやから、好きで好きでしゃーないから連れ去りましたって!好きやからウチのこと抱いたって、言えやボケ…っ!!」