昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜



まさか友人に囲まれることは想像してなかった。


「うっわぁ!優子浴衣やしっ!!しかも結構似合てるやん!」

「ほんまや〜っ!珍しっ!!風間くんに見せるためかいな!」

「あれっでもなんで一人?風間くんとはぐれたん〜?」

「…あ……え、と」


言葉につまる。こんなんどう説明すればええねん。

酸素が足りん頭じゃうまい言い訳がいっこも浮かんでこおへん。


「ほな風間くん捜しながら一緒まわろうや!一人やと寂しいやろ〜?あーやっぱアタシって気ぃきくわぁ〜」

「っは!!自分で言ってまうんや!はぐれたんさっき?どこ行ってもたんやろなぁ〜、風間くん」

「行こっ、優子!」


一文字も発する暇なかった。

勢いに呑まれて、にっこり腕を組まれて、タイミングを逃す。なにをどう言うてええんかわからんくて。


高ぶった気持ちだけが、頭ん中でゴンゴン飛び交ったまま。


「いや〜やっぱ優子混じるとテンション高なるわぁ!男前度ガツーン上がるからな〜」

「…男前て」


そう言って嬉しそうに、ギューてウチの腕に巻き付いてくる。


「優子と風間くん、もうなんか食べたん〜?」

「…焼き鳥とビール。あとかき氷と…」


あ、かき氷はまだ食べてへんわ…やなくて。


「うーわ、祭りの定番行ったな!!」

「ほな次フランクフルトいこや!フランク!ジャンボ!!」

「アンタ風間くん捜す気ないやろ…。なぁ優子!」

「あ〜……うん…」



いや、どうすんのこの展開…。