どっぷり自己嫌悪して、どっぷり落ち込んで、泣いてみたり、やけ酒してみたりして。

一通りそうしたら、きっと痛いんは風化する。月日と共に、ゆっくりなくなってく。

たとえ届かんくても一生おんなじ人を想い続けられるなんて、そんなのは純愛を語った幻想や。

…もう二十歳すぎたんや、そんくらい知ってんねん。

きっといつかは薄らいで丸くなって、優しい気持ちで見れる日が来る。

多分新しい恋愛して、べつの人をすきになって。



なぁ、でも俺な。



優子をこんな好きんなったこと、忘れたないなぁとか思うよ。








"もうどうしたらええかわからへんわ……"








どうしたらええかわからん、とか。

そんなわかりきっとること。でも教えたらへん。せいぜい悩めばええねん。

教えたらへん。そのままの気持ち伝えたらええやん、とか。

多分そしたら優子は全部受け入れてくれんで、とか。


だって優子も愛しとるもん。アホみたいに愛しとるよ、お前のこと。





ドパーン!……派手な音を立てて、一発目の花火が上がった。

黄色も、赤も、緑も。統一感のない色が、一斉に、その一瞬に、自分を主張する。



「…めっちゃ綺麗やん」



当たって砕けて、でもこんな風に綺麗に散れるならそれでもええんかもしらん。



両思いのくせにすれ違ってばっかで傷つけて傷ついて、友達が間に入らな仲直りもできへん、今時中学生でもそこらはもうちょい大人やで。


絶対に教えたらへん。




…悔しいから、そんくらいは自分で気づけ。