昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜





「ご、め……っ」




ぼろんと、情けないくらいおっきい粒が落下した。

風間が巻いてくれたばっかの絆創膏んとこに落ちる。染み込まんと、はじかれて。


「え……えっ!?なんで泣…そんな痛い!?」

「ごめ…な、風間…っ」

「………」

「ごめん……っ」

「………優子」

「会ってん………っ」

「…………」

「かっちゃんに…会うてんか……っ!!」



ずるいのは嫌や。せめてちゃんと、全部正直に言うよ。


あきれて。
怒って。
けなしてくれてええ。

泣きたいくらい優しくなんか、してくれんでええから。



「大丈夫やって、思っててん…っ!」

「…………」

「大丈夫って…もうあんな気持ち忘れたって、ウチは…っ」

「…………」

「けど…っ、やっぱ全然、アカンくて…!!動揺してもて……ウチ、嫌、やのに…!もう…だって、ウチが大事なん、風間、やの…に…っ!!」


声も考えも途切れて、もうなにをゆうとるかわからへん。


待ってな。
ちょっと待ってな。


ウチ絶対、風間を好きになるから。

好きやけど、なにがあっても揺れんくらい好きになるから。

風間に負けんくらい大事にできるように、頑張るから。



…やから。




ヒクッとしゃくりあげた下手くそな息の吸い方。



その息がまた出ていく前に、ぎゅうーて抱き締められた。