昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜



背中の向こうで、名前を呼ばれた。


振り返るとそこにおったのは、息を切らした風間。



…見つけるより先に、見つかってもうた。



「風間……」

「大丈夫か優子!?うわ〜もー……よかったぁ…」


脱力したみたいにクタッてなって、風間はホッとした顔をする。

込み上げてくる。罪悪感と、なんかよーわからんめちゃめちゃ切ないんがいっしょくたになって。


「……あ、かざま…ごめ」

「こんな人多いしもう会えんのちゃうか〜て…」

「ご…ごめんな?ほんっまごめん!!」


…わかってたのに。知っとったのに。

風間がこんな風に必死で心配してくれること。


「んな謝らんでええよ、俺が離れてもたわけやし…」

「違っ……ウチが───!?」


突然、目の前から風間が消えた。


…と思たら、ウチの足元にしゃがみこんどって。


「なに……っ!?」

「足!!」

「あ…あし?」

「めっちゃ靴擦れしてもてるやんか!!うわ、痛いやろ?」


眉をひそめて、ウチの足先に触れる。

少ししめった風間のゆび。走り回って捜してくれた、その熱。


風間はいっつも真っ先に気づいてくれんねん。ウチのことやのに、きっとウチよりも先に。