…耳元の声に、鼓膜が震える。
体の中心から込み上げてくるもの。めちゃめちゃ力をこめて抱き締められて、唇が震えた。
ぼったぼた止まらへん涙が、どんどん風間の肩を濡らしてく。
止めな。
…でも涙、止まらへん。
「…風間、汚れる」
あったかい。
…めっちゃ、あったかい。
「汚れるって、風間───っ、」
ドンドン背中をたたいたけど、風間は抱き締める力をゆるめへんかった。
風間に抱き締められたまま、ウチはアホみたいに泣き続けた。
心とか気持ちとか、理性とか本能とか。
なんなんやろ。好きとか、嫌いとか、愛とか、恋とか。人間って、なんでこんなモン持っとるんやろ。こんな機能ついてんねやろ。
きらいや。こんな自分に吐き気がする。
…どんだけでも吐くから。
血ぃでもなんでも、苦しくても、死にそうでも。せやからどうか。
神様仏様地縛霊様。
…汚いきもち全部吐ききって、風間を大事にさせてください。



