昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


気持ち悪いやろ?
軽蔑したやろ?
だってウチ、自分自身に吐き気するもん。
消えれるもんなら消えたいって思うもん。


……やのに、なんで。



「……まさこ」



風間がウチを呼ぶ声はいっつも、そんなに優しいの。



息を吸うのが痛かった。怖かった。

風間の指は、手のひらは、何回もぬぐってくれるのに、それでもぼっとぼと涙が落ちる。


「かざ、ま……」


絞り出す声は震えてた。


…震えて、かすれて、めちゃめちゃカッコ悪い声やった。


「…かざ、ま……、ウチ…っ」


こんなとこ、見られたなかった。

こんなこと、知られたなかった。

風間を傷つけるなんて、一番したくなかった。


…一番傷つけてるんは、自分やのに。


「ずっと……、ウチは…っ…、」

「………」

「お…かしい、やんな?イトコで、こんな…ホンマ…っ」

「………」

「ずっとやめなって、思って…、ほん、ま…っ、気持ち悪いよな…っ!?頭、おかしい──」
「もうええよ」


頬に触れていた風間の手が、離れる。


ウチの背中に回る。



風間の、両手。



「もうええから……っ」