昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


あの冬から、クリスマスの後からずっと、ウチの頭はおかしなってもてる。

一本も二本もネジがはずれて、今はその行方もわからへん。

だれか持ってるなら今すぐはめ直しにきて。

なぁ、だれか、



あの冬の日に戻せるなら……戻れるなら。




…ごめん。

ごめん、しか言えへん。


ほんま、こんなことしか言えんでごめん、風間。

ごめん、


ごめんごめんごめん、



「……優子」



ひたっ、て。


床を踏む、風間の足。

ウチにゆっくり近づいて、その影が顔にかぶさる。


「優子」


風間の手が肩に触れて、思わずビクッと震える。


…でも風間の手は、優しくて。

ウチをゆっくり抱え起こして、ウチの体にシーツをふわって巻き付けた。


風間の手のひらが、ウチの涙をぬぐう。

ゆっくり、そっと、全部残さず、すくうみたいに。



「……〜っ、」



…やから、なんで。



「ん、で…そんな、優し……」

「………」

「な…んで……っ」


なんで怒鳴らへんの。
なんで殴らへんの。

なんで、だって暴言のひとつやふたつ吐きつけて当然やん。