静かになった空間に、ウチと風間の二人だけが取り残される。
息を吸う音も、吐く音も聞こえそうなくらい。
「………まさこ」
風間のかすれた声が聞こえた。
それが耳に入った瞬間、顔がくしゃくしゃに歪む。
ぐちゃぐちゃによれた、シーツの上。
両手を顔に当てて、風間に背中を向けた。
「見んといて……」
…ごめん。
こんなことしか言えんでごめん、風間。
ごめん
ごめんごめんごめん、
「…………っ、」
ごめんな。
一番最低な裏切りかた。
…ずっと言わんかった。
かっちゃんと関係を持ってたこと。綺麗なだけの片思いなんかやない。
こんなの、風間を騙してたんと同じ。
…かっちゃんに無理やり押し入られたから。
かっちゃんに殴られて、無理やり押し倒されたから。
違う。…ちゃうねん。
かっちゃんに触れたいと思ってしまった。
触れたい、さわりたい、
─たしかにあの時、ウチは。
「ごめん……っ…」
ごめん、とか、後付けでなんて軽い言葉。
…拒みとおせんかった、ウチが一番悪い。



