かっちゃんの首根っこがつかまれて、ウチの手首の拘束がとかれる。
風間が思いっきしかっちゃんを殴ったのが見えた。
ドガシャーン!!ってすごい音がして、床に倒れるかっちゃん。
握りしめられた風間の拳が、目の前で震えてる。
「…っ、痛って……」
かっちゃんは上半身だけ起こして、風間を見上げた。
首をさすって。
口元をかたっぽだけ歪めて、笑って。
「お前────っ、」
「何…って。前からのことやん」
「は………?」
喉の奥が震えた。
目尻と、目頭と。際限なく涙があふれて。
言わんといて。
言わんといて。お願いやから。
…かっちゃんの口からは、聞かせたくなかった。
「あれ、知らんかった?…風間くんよりずーっと前から、俺とゆう、シてたよ。」
──ああ、
目を閉じたら、また新しいのがツゥッて流れていくのを感じた。
息を飲み込めずにおったら、聞こえた。かっちゃんが自分のTシャツを乱暴に取る音。
遠ざかる足音。閉まるドアの音。
…かっちゃんが出ていく、音。



