起き上がろうとしたら、手首を強く押さえつけられた。
そのまま口を塞がれて、乱暴に舌をねじ込まれる。
迫る。大きくなる足音。
頭ん中は、もうパニックでしかなかった。
「〜っ!?んんーっ!!」
「優子〜?」
ドアの外から響いた、穏やかな声。
返事ができへん。身動きできへん。頬にこびりついた涙の上に、新しいのが伝う。
こんなんウソや…!!
「…起きとる?優子」
「………っ、」
「荷物間違えとったみたいでなー。暗かったし、形似とったからわからん───あ。あいとる?」
「……っ!!」
「優子?…入んで?」
抵抗する力はもう残ってなかった。
口を塞がれて、答えることもできへん。
ドアノブが回る。
かざま。
──ごめん。
「な……に、してんの……。」
暗い、部屋ん中。
風間の目が、見開かれる。
直視できへんかった。涙でびちょびちょの汚い顔を向けることなんかできへんかった。
「〜なにしょんねんお前……っ!?」



