昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


圧迫された皮膚が、にぶい痛みを訴える。

じわじわと、外から内側に向かって、侵食されてく。


「か、ざ」

「黙れって」

「風間……っ、」

「俺の名前呼べや」

「…かざ、」

「…〜なぁ…っ、呼んでや、ゆう……っ!!」



首筋に埋められたかっちゃんの顔。


ギューって。強く抱き締められて、あばら砕けそうや。

なんで。

勝手なことしてんのそっちやん。泣きたいのはウチの方やん。


なんで泣きそうな顔してんの。


…なんでそんな、頼りない子供みたいな顔してんの。



(……ああ)



アホかな。

アホやな。アホ、アホ、アホ。

アホすぎて泣けてくる。こんなん頭輪切りにされたって、入れ換えたって治らへん。

涙が込み上げた。悲しいからとか、そういう気持ちからやなくって。


…体の奥からガーって込み上げてったもんに、押し出されて、あふれて。


否定しても否定しても否定しても、

違う違う違うって、どんなに、


なぁ、



…やっぱり、消えへんよ。



「…っ、ちゃん…」



唇が、音を紡いでた。


思ってしまった。名前を呼びたいと。


手のひらが訴える。このでっかい男を、アホでアホでどうしようもない男を、抱き締めたいと。



「〜かっちゃん…っ」