昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


愛撫っていうよりも、体を暴かれてるの方が正しかった。

首筋がチリッと痛んで、その痛みが全身に散る。

腕。鎖骨。胸。ふともも。体全部。かっちゃんに噛み砕かれてまう。

いたるところからかっちゃんが染み込んでくる。


痛い、


…いたい。


やのにかっちゃんの手が触れるたび、勝手にのぼってくる熱が頭を犯してく。

必死で唇噛んで、声を押さえた。


「……っ、」

「…ふ、こんな乱暴にされても感じるんや?ゆうは」

「…っ……」

「なぁ、声出せや」

「っ!?…んー!!」


口ん中に指突っ込まれて、舌に触れる。


苦しい。息うまくできへん。

声が、ひきずり出される。


「なぁて。聞いとるん?記憶とばすなや」

「風間……っ、」



口からすべり出た名前。

暗い、空気がこもった部屋ん中。


ひとつだけ落とされたそれは、やけに大きく響いた。


無意識やなかった。ちゃんと、心の中で繰り返す。


かざま。


…そう呼ばんと、いけん気がした。



かざま

かざま

風間


かっちゃん。


風間


かっちゃん。

かっちゃん。


…声に出す名前は、せめてもの免罪符。

自分の脳みそを、必死でつなぎ止める。


「かざ、ま、」

「………っ」


かっちゃんの、腕を拘束する力が強くなる。