昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


「〜かっちゃん……!!」

「いつの間にオンナノコになったんけ、お前」


なにが楽しいんか、ウチの腹に馬乗りになったかっちゃんは口元をゆがめて笑ろてる。


「なぁ、教えてや」

「ちょっ……!?」


あばれようとするウチの手首を押さえつけて、かっちゃんが牙をむいた。

ウチの首筋に、するどい痛み。…その、合図は。


その時やっと、頭の神経がつながって。


自分が今なにされようとしとるんか、理解した。


「や…っ!?嫌やっ!!〜放せアホっ!!」


本気で抵抗したのに、本気で押さえつけられる。敵わへん。

首筋がヒリヒリして。生理的な涙が浮かぶ。


わけわからんわけわからんわけわからん。


ほんま、本気でのかそうとしたのに、かっちゃんは全然びくともせんくって。


「─────っ!?」


強引に引っ張られたTシャツに、背筋があわだった。


な に 、ほん ま、ありえん───


「〜〜〜っ!!」


渾身の力でかっちゃんの手振り切って、思いっきり殴った。グーで。

骨に当たったような気がしたけど、なんせこの体勢や。自分の拳にもそんなに威力は感じへん。


「〜やめろやっ!!何考えとんじゃアホっ!!〜もうかっちゃんとはせぇへんっ!!」

「黙れって」

「放せ!!のけ!!死ねアホ────っ!?」