暗がりの中、違和感を覚えてよくよく目を凝らす。
「うそ……」
…カバン。
これ、ウチのやない。風間の旅行カバンや…!!
渡された時になんで気づかんかってん。どうりでなんか重たいと思たで…!!
男より荷物少ないって女としてどうなんってかんじやけど。
だって普段はカバンすらあんま持たへんし。ポケットで事足りるし。
とりあえず電話かけて…って携帯カバンの中やがな!!あー、もー……
「はぁ……───っ!?」
ため息ついた、ちょうどそん時やった。
ガコッ!!って。
玄関の外で音がして。
驚いて肩が跳ねて、ドアの方を振り返る。
…え、もしかして。
風間も間違えたって気づいて戻ってきたんかいな?
なーんや、よかったぁ〜。だって財布とか携帯とか全部そっちやし…
そう思って、ドアノブに手をかけた瞬間やった。
──ガッ!!
ゴツい手が、ドアのすき間から侵入してって。
「───うわっ」
強引に引かれたドア。バランスを崩したウチは、固い胸板にむかってオデコ打ち付けて。
「っ……ごめ、かざ…ま……」
見上げて、そのまま固まった。
…そこにおったんは、風間やなかった。



