…けど、その手はポンポンって頭に触れただけで、すぐに風間のもとに帰って。
目を開いたら、暗闇の中に風間の笑った顔がかろうじて見えた。
「…また、連絡するな」
「……ん」
「…………」
「…………」
「…おやすみ」
深夜やから、よけいに響くバイクのエンジン音。
それが遠ざかっていくのを、ひとり突っ立ってボーッと見送った。
…キス、されるんかと思た。
いっつもは別れ際、そういうのんするから。風間。
なんか、唇だけが冷たい気がして。
ずり落ちそうになっとったカバンを抱え直す。
「…どっこいせ、っと」
…あー、またおばちゃんみたいな口ぐせ出てもたわ。
まず部屋帰ってカバンの中身出して整理せなな。いや、それよりお風呂が先かいな。
なんか…うん。
今日はもう何にも考えんと寝よ。泥のように寝よう、うん。
うまく飲み込めへんような、モヤモヤしたような気持ちはお腹の底の方にたまってて。
下の方で、ずっと渦巻いとって。
でも深く考えたら、たぶん自分の頬張り倒したくなるくらい自己嫌悪しそうやから。



