殴られた気分やった。
…すぐに、答えられへんかった。
表情を作ることもできんで。目の玉が、左右にぶれるのを感じて。
一人だけの、かっちゃんだけの呼び名が。
頭ん中で、響いて。
"ゆう"
(────あ、)
風間の顔が、泣きそうにゆがむ。
「…ぁ、風間……っつ──!?」
たよりない言葉は全部、風間のキスに埋められた。
ガクガクと世界が揺れる。皮膚のまだずうっと裏を、体の奥を、突き上げる乱暴な熱。
「あっ、待っ……、ちゃう、から…っ!!かっちゃ…のこと、も、好きじゃないから──」
「……っ、」
「〜好き、やない…!!今ウチが好きなん、風間やからっ…っ───」
くしゃくしゃになった顔。
揺れる世界の中、必死に両手を伸ばして、その頭をかきいだく。
ああ、あー、あー。
違う。アホ。違うやん。
ちがってた。ウチが言わなあかんのは、せなあかんのは。
"ゆう"
…ウチはその一瞬の行動を、間違った。



