うん。でも…ほっぽりだしてきてもたから。見捨てたみたいやから、やから気になるねん。ただそれだけで。
…ちゃんと、家で寝とるやろか。
風間には、かっちゃんのこと言えんかった。
そもそも変に心配とかさせたなくてバイト一緒やったことも言うてなかったから。
なんでもないふりして、早朝に迎えにきてくれた風間の、バイクの後ろに乗って。
そんで手をつないでる、今。
「お!これ、ヤシの木ちゃう?」
「──へっ」
風間の声にハッとして、我にかえった。
「あ…ああ!!っぽいなぁ!!」
「なぁ、これ…登れると思う?」
「は?え、ちょ、かざま──」
なにを思ったんか、いきなりヤシの木に足をかけ出す風間。
太い幹に、風間の体が巻き付く。
「なにしてんの…」
「うわ、ちょーこれ以上無理っ!!」
無理、て。別に無理せんでも。
どう考えてもかっこよくないその光景に、思わず吹き出した。
「あ…アホちゃう風間…っ!!セミみたいんなってるで!!」
「あかん…落ちる…」
「ぶは…っ!!ちょー待って写真撮ったるから!鳴いてみ、みーんみーんて」
「そんな余裕ないんやって!!」



