昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

首筋がめっちゃ痛い。絶対血ィ出てる。

深夜の訪問者、時計はもう0時を回ってるはず。

クリスマスは終わってただの平日の26日。


窓のカギ壊されて、押し倒されて、なんで首から血ィ出さなあかんねん。

ウチなんも悪くないのに。



とりあえず必死やった。


コタツに埋まってるせいで身動きとれんかった下半身。

思いっきりコタツを蹴り上げる。

ちゃぶ台返しみたいにひっくりかえるコタツ。

びっくりして後ろを振り返るかっちゃん。


その隙に、渾身の力を込めてかっちゃんの股関を蹴り上げた。


「〜〜〜〜!!」


声にもならない声でうずくまる大男。よっぽど痛かったらしい。

容赦なく次々に蹴りを浴びせる。


「出・て・い・け!!」


ゲシッゲシッゲシッゲシッ、声に合わせて四発蹴り上げる。

弱りきったかっちゃんを横目に、自分のバックをひっつかむと逃げるように外に出る。


ぐっちゃぐちゃになった自分の家とか、まだ残っとるかっちゃんとか、頭になかった。

とりあえずアパート下に停めてあったチャリに乗って避難。友達んちに爆走した。


最悪や最悪や最悪の、クリスマスや。


もう日変わったからクリスマスちゃうか、そんなんどうでもいい。


最悪、最低や。


顔に吹き付ける風が冷たすぎて泣きそうんなった。

なんかチャリこぎにくいと思ったら、急ぎすぎてかっちゃんの靴間違えて履いてきてた。最低や。



結局その日は友達んちに行って、泊めてもらうことになった。

ジャージにデカいサイズの靴をひっかけてヒイヒイゆうてる、女らしさ微塵もないウチを見た友達の、

「何があったん?」

てゆうのは至極当然の質問やけど、



「…なんも聞かんといて」



理由とか、言えるわけがなかった。














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