なんかの夢を見た気がするけど、目覚めてみたらかけらも思い出せんかった。

ウチが顔ペチペチやってあわてとる間に、もうすぐ到着のアナウンスが流れて。

…あ。今どこや〜って思てたけど、もう九州やったんや。

新幹線てホンマ速いなぁ。日本列島の一番はしっこにもあっと言う間。


重たい旅行カバン抱えて、えっさこいさよっこいさって新幹線降りる。

そしたら、風間がひょいってそのカバン持ち上げて、背中にしょって。


「ラーメン、食べいこか。」


…もうかたっぽの手で、ウチの手をとってん。


「かざ…っ、ええって!!そんくらい自分で持てる───っつか、手!!」

「え?エエやん、あかんの」

「〜だっていっつもは──!!」

「九州にだれも知り合いなんかおらんって」


そうやって、風間がめっちゃ幸せそうに笑うから。

普段はな。人前でそういうん、ウチ絶対無理やねんけどな。

…まぁええかって、思ってしもた。