赤い線の入った段ボールを肩に抱えるかっちゃん。
一番重い種類のソレは、さすがにウチでも一人やとキツイやつ。
…やればできるやん。
そんときふと、昔の情景が頭に浮かんで。
ちょっと口元がゆるんでしまう。
同じく段ボールだらけになった部屋。
あれは…そう。大学決まって、下宿先に引っ越すときの情景や。
ウチはとっくに荷物まとめとったのに、かっちゃんの部屋はまだぐっちゃぐちゃやった。
…あと数時間でトラック来る〜ていう状況でな。
「ぜっったい間に合わへん!!この一週間なにしとってん!?」
「えー……遊んだりとか遊びに行ったりとか…あと、遊びに来たりとか?」
「〜全部一緒じゃボケっ!!」
「いって……、教科書投げんなって!!片付かへんやん」
「誰のせいやと思てんねん……っ!?」
…まぁ、ウチが必死に手伝って、なんとか間に合ったんやけど。
「やらんだけで、やったらできんねん。多分ゆうビビんで」
「…たまにはビビらせてほしいもんやわ……」
引っ越し終えて次の日、筋肉痛になったのはウチだけやった。
…ほんま、都合エエ男やで。



