昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

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「優子ねえさん」

「あ。ありがとうございます〜!!」


バイトの休憩中に、社員の人がカフェオレ差し入れしてくれた。

ぽん、て放られた缶は、冷たくも熱くもなくってぬるい。


プルタブに指をかけたら、社員さんが「隣いいっすか」とウチの横に並んだ。


…ていうか。


社員さんにまで敬語使われてねえさん呼ばわり、てホンマなに……!!

まぁ、社員さんはおもしろがってゆうてるだけなんやろけどな。


「いやまぁ、元気そうでよかった」

「?」

「おととい、ねえさんがゲッソリした顔で来るからなんの天変地異が起きたんやー!?て思いましたもん」

「あはは……」



…おととい、な。


あれから女の子数人に拉致られて。

さんざん根掘り葉掘り聞かれて、風間くんのボランティア精神は高尚すぎるとか、アンタら似合わなさすぎていっそ似合うわとか、言いたい放題言われて。

黙っとった代償や〜ゆうてひとりひとり肩もみさせられて。


…ホンマ指つるかー思たでな。


「力が弱い!」「真心をこめろ真心を!!」「邪心を振り払え!!」


…とかずっと言うてくるしな。

肩もみに真心と邪心ってなんですか。