昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


苦い笑顔で振り返ったら、



「工場長が休憩入ってええよ〜、とのことです!!」



…ゴツくて真っ黒に日焼けした顔の、爽やかな笑顔が返ってきた。

白い歯が無駄に眩しいっていう。


休憩。なんや、もうそんな時間か……


「ん。」

「…………は?」

「ん。…やから、休憩なんやろ」


ポンポン、と自分の隣をたたく手のひら。


「なに?…座れって?」

「うん」

「…かっちゃんは休憩ちゃうやろ」

「うん。けどちっちゃいこと気にしとったらハゲんで」


…ちっちゃいことやないと思うけど。


けどなんか眠かったし、疲れてはいたし、反論するんもめんどくさかったし。


やから、かっちゃんがポンポン、てたたくその場所よりほんの数センチ、離れたとこの段ボールに腰かけた。


ぶらんと垂れる足。

かっちゃんは床に擦っとるのに。どうせウチのが足短いわ。


「…………ふ」

「…やからなんで笑うん」

「…いや……」

「……………」

「……………」


かっちゃんが、スニーカーの足首をくるくるって回す。

別に話しとるわけやないのに、妙に口の中が渇いた。


…こういう時、缶コーヒーの一本でもほしい。


飲んどったら、会話の間も埋めれるやんか。