昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


すごい形相でふりかえったと自分でも思うのに。


かっちゃんが浮かべてたのは、なーんかゆるい、嬉しそうなニヤケた顔やった。



「……なぁ」

「ん?」

「なんで笑てんのかっちゃん」

「……いや、」



かっちゃんは笑うのをかくすみたいに、口に手を当てて目を反らす。


…なんやねん。



「?」

「…いや、うん。」

「…なに?」

「久しぶりやなぁ、って」

「…………」


「……ゆうにこうやって構われるん、久しぶりやなぁーって。思っただけ。」





…そういう風に、言われて。




返す言葉が見つからんくて。


ああ、そう言えば最近疎遠でしたもんねーとか。顔合わすんも珍しかったしなーとか、思ってみたり。


いや、わざと意識して話さんかった。会うのを避けてたねんけど。


それでもこうやって会ってもて、そしたら案外フツーに話せてるやん。

でもフツーフツー、て意識してるてことは、やっぱりフツーやないんかな、とか。



…普通って、どんなんやっけ。とか。




「おーい!優子ねえさーんっ!!」

「………っ!?」



いきなり名前呼ばれて、飛び上がるほどビックリした。


うわ、サボってたん怒られる……!!