昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


見覚えのあるスニーカーに眉を寄せながら、ゆっくりと近づく。



「…なにサボってんの、かっちゃん」

「うわっ!?」



…予想通り、そこにはやっぱり黒いツンツン頭がおった。


その持ち主、かっちゃんはできるだけ首を動かさんように視線をこっちにやって、



「…なんや、ゆうか」



ホッとしたみたいに、ふぬけたみたいにそう言うた。

ウチも思わず肩に入ってた力が抜ける。


「…なんや、ちゃうでな。かっちゃんが真面目に働いとる姿あんま見んのはウチの気のせいか」

「何事も要領よく、てな。腹八分目くらいがちょうどええねん」


…いや、腹八分目は意味ちゃうやろかっちゃん。


しかも「ゆうはハリキリすぎやねん」…とか、そっちが正しいみたいな言い方してくるから、ムカついて靴踏んだった。


…あ、かるーくやで?かるーく。

なんでかっちゃんが悶えとるんかはしらんけど。



でっかいため息ひとつ落として、持ち場に戻ろうとした。

…のに、ガッ!!!て思いっきり腕つかまれて、後ろにひっぱられて。



「〜なにすん───っ!?」


ウチがはいとるのがヒールやったらひっくり返って後頭部スッコーン!!て打ち付けてるでな!?

いやヒールはいたことないけども!!!