なぁ、深夜やけど。
寝とるんわかっとるけど、今めっちゃ顔見たいかもしらん。
きっと
「何時や思とるねんボケ」
とか悪口たたかれるけど、それすらも聞きたいと思った。
首筋に顔を埋めて。
鼻押し当てて。
体重をあずけて。
…そしたらきっと、やっと安心する。
吐きそう、ぐらぐらする、気持ち悪い、
痛い、苦しい、しんどい、めっちゃ、いたい。
泣き言とか、カッコ悪いなぁ思うことでもなんでも、ゆうの前やと自然と出ていってくれるから。
ゆうはそれを受け止めてくれるから。
ぽっかり空いたモンが埋まるのは、きっとそんときやから。
…ゆうに、会いたい。
会いたい。会いたい。
──あいたい。
アパートの真下に着いた、その瞬間
おれは、目を見開いた。
息が上がって、でも頭ん中だけが冷えてく。
はやる心音は、スピードを失って。
暗い視界の中に映るもの。
…アパートの下には、風間くんの原付が止まっとった。



