昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

思わず言葉を飲み込んだ。


さくらの口から、その名前が出てくるとは思わんかったから。



「…って、まさるくんが知らんわけないかぁ!まーちゃんはまさるくんのいとこやもんね」

「……」

「聞いたときビックリしたけど、でも良かったな〜ておもてな」

「………」

「ウチな、まーちゃん大すきやし、風間くんはめっちゃええ人やんか。やから、」

「俺、風間くん嫌いや」




………え。




自分の発言に、固まった。



なに言うてんねん、自分。なにを。


頭がふわふわする。


あー……。ビール、だけやなくて、日本酒も飲んだから……



「…嫌い…て、なんで?」


さくらのまんまるい瞳が、俺の顔を映す。



「嫌い、ゆうか…」

「うん?」

「……困る、ねん」

「なんで?」

「だって……ゆうのこと、とるねんもん」



さくらのミュールの音が止まる。


不思議に思って、振り返ったら。



「あは…あははっ!」



さくらがかわいい顔をくしゃくしゃにして、笑っとった。



「…え。なに……、」

「勝くんて、ほんままーちゃんのこと好きやねんなぁ。」