昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

あからさまに誘われんのは嫌いやない。

据え膳食わぬはなんとやら、てヤツやろ。あー…、アカンわ。けっこう飲んどったんかな、頭回らへん。


そういやこのセリフ前に言うた時、



『離れろどアホっ!!誰もお前に据えてないっちゅーねん!!』



とか言われて蹴られた気がする。

耳によー馴染んだ声。


ああ、そう。



…ゆうの声、や。





二次会の会場は、近くのカラオケ店に決まったらしい。

会計を済ませて外に出ると、ほてった体を夜風がふわりとなでる。


ユリちゃん(…やったと思う)に腕に巻き付かれながらふわふわした気分で歩く。


でも次の瞬間思わず、歩みを止めた。



「どーしたん?まさるくん」

「…ごめん、先いっとって。後で行くわ」



群れをはなれて、ふわりとなびく柔らかい髪を追う。


追い付いて、その腕をつかんで、その名を呼んだ。



「……さくら、」



振り返ったさくらは、目をまんまるくして俺を見つめた。

息をのむ音。



「まさるくん…」

「なんでこんなとこおんの。危ないやんけ。」