昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


わけわからん、と思って携帯をベッドの上に放り投げた。


…その、瞬間。



ガタガタガタガタガタガタガタガタ


「───!?」


玄関近くにある窓が、ものっすごい音立てて揺れてん。

年代モンの磨り硝子の向こう、誰かが外から窓を揺らしとる。

え?何、サンタクロース?…いや、サンタなわけない。服赤ないし。


…もしかして、不審者?


こたつに潜ったまま、体が凍りついた。

どうしよう。どうしよう、110番!?けどしもた、携帯ベッドに投げてもた。

足がこわばって取りに行けへん。


──ガン!
「…ひっ!!」


最後におっきい音したかと思たら、カギが壊れてスパーンて床に飛んだ。


そんで開いた窓から現れたんは、


「………か…っ、ちゃん…」

「よっ!!」


「……いや、まじで……ホンマ何なん…?」


真っ赤な顔したサンタクロース…やなくて、かっちゃんやった。


平然と、当たり前みたいに窓から入ってくるかっちゃん。

…何?何してくれてんの、お前は。

てか、カギ壊れて…


「〜なんでフツーにドアから入ってこおへんねん!?チャイム鳴らせやっ!!」

「鳴らんかってんもーん!」

「ならノックしろ!!ノック!!なんで窓揺すっとんねんおかしいやろ!?」

「な、ユウちゃん〜!怒んなって!!人生長いねん、こういうこともたまにはある!!」


…無いやろ。

聖なるクリスマスに、酔っ払いに力いっぱい窓揺すられる経験とか要らんやろ。


「…かっちゃん……酔うとるやろ」


ウチが呆れた眼差しを向けたら、酒の臭いを漂わせるかっちゃんは赤い顔でニコーッて微笑んだ。


「俺酔うてへんもん〜!!」


それから何が可笑しいのかケラケラとウチを見て笑いやがる。


…完ペキ、酔うてますやん。