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…あっという間にやって来たクリスマス。


その日の予定はやっぱり二択のうちのひとつ、女だけでのケンチキパーティーになった。

注文したボックスの中に敷きつめられたチキン。それとケーキ。

油と肉と糖分と炭水化物。全部脂肪に直結するもんばっか。

栄養グラフ書いたら絶対恐ろしい図んなる。


その油で唇テッカテカにしながら、梅酒とか缶チューハイとかを空けまくってはしゃいだ。

…女らしさのカケラもない。

しかも、みんなの化粧に対する気合いの無さ。

…いくら女子会やからって、眉毛が無いのはどうかと思うで。




夜も更け、ほろ酔いのいい気分で一人暮らしのアパートへ戻る。

そん時の時刻、PM11:28。

部屋の中はしぃんと静まりかえっていて、先ほどまで人の体温の無かったその場所はひんやりと冷え込んでいた。


早速着ていたジーンズを脱ぎ捨て、ジャージに履き替える。

凍ったつま先を、まだ温もっていないコタツの中に突っ込んだ。


…初めっから一人でおるより、大勢で騒いだあとに一人になる方が、余計寂しなるのはなんでやろ。


クリスマスに、ジャージ姿の女が一人テレビを見る。

我ながら、なんて虚しい図。毎年毎年、進歩なし。


あっはっはっは〜。


…全く笑えへんわ。


お笑い番組の中の笑い声にすら嫌気がさして、ニュースでも見ようとリモコンに手を伸ばす。


ちょうどその時、今日1日も鳴らんかった携帯の着信音が部屋に響いた。

パコッと片手で開いて画面を覗くと、そこにあったんは"かっちゃん"の文字。


…しかも、メールやなくて電話や。


一体何の用やろか。

かっちゃんは今日、できたてホヤホヤの清楚な彼女さんとどっかに泊まるって言うとったはず。

クリスマスイブ・クリスマスをまたいだ予約は取れへんかったから、25・26日で予約してん〜とか、聞いてもないのにわざわざ自己申告してきたはず。


「もしもし〜?」
「…………プツッ…」


…切れたし。

何の嫌がらせや。