昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

…そういえば、少し前のメール返しそびれとった気がする。

もしかしてそれで気にしとったんかな。うわ、悪いことしてもた。あん時は余裕が無かったっていうか、ほんま自分のことでいっぱいいっぱいで。

久しぶりに話したいって送ってくれたのにそのまますっかり忘れとった。それで返信なかったら気になるよなぁ。


「あ~…っと…メール、返さんでごめんな。ちょっと立て込んどって返しそびれて…って言いわけみたいなるけど…」

「メール?…ああ!!そんなんエエよ〜。よくあるよくあるっ!」


手を横に振りながら笑顔で答えるさくらちゃん。

うわーめっちゃエエ子や〜…。


ん?でもならなんで、「話してくれてよかった」みたいなこと言うたんやろ。


ウチが何か言う前に、先にさくらちゃんの方から口を開いた。


「…勝くんとな。勝くんと…もう関係なくなったら、まーちゃんとの関わりもなかったことになってまうんかなぁって思ってな。」



…さくらちゃんが何を言うとるんか、さっぱりわからへんかった。


だって日本語おかしい。発された文章が散り散りに、単語になって頭ん中を回る。

勝くん?関係?…なくなった?


何を、ゆうてるの。


「なに……、」

「あ…もしかして、聞いてへんかった…?」


さくらちゃんは気まずそうな顔をして、小さく俯く。


聞いてへんかったって。何を?…誰から?


さくらちゃんのピンクの唇が揺れて。


心臓の裏がドクン、て鳴った。




「勝くんとな。…別れてん。おととい」




『さっき…部屋行ったのに、おらんかった』




さくらちゃんの声と、あの晩の。

おとといの、一緒に布団並べて寝た晩の、かっちゃんが言うた言葉が重なって聞こえた。

頭の奥がジンジンして、周りの雑音が急におっきくなった気がした。そのせいで目の前で話し続けるさくらちゃんの声がうまく聞きとれへん。