昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

倒れ込むように、崩れるように。

乱雑に靴脱ぎ捨てて、二人でベッドに転がる。

ぼすん、て頭が沈んで。位置がずれた枕。けどそんなん、どうでもよかった。


「…は……っ、」


真上から、キスが降る。

混じる温度。漏れる息が熱い。

皮膚ちゃうねん。粘膜が、体の中身が直接触れ合う。


「まさ……っ、」


なんか言おうとした風間の口を、頭ごと引き寄せて塞ぐ。

風間はベッドに手ぇ突っ張って、それに抵抗した。


「…ちょ…、あかん、て」

「なんで、」

「な…んでて、そんなん…っ」


間近で見る風間の顔は上気して、目の回りとか赤くなっとって。

苦痛じゃないけど、歪んだ顔。なんかに必死に耐えとるみたいな、そんな。


「…これ以上したら、俺止められる自信ないで」


そう言って大きく息吐いて、ウチの肩んとこに顔埋める。


「…なんか、もっと…大事にな。したいっつーか……あ〜もう何言いよんやろ俺……」


風間の息が首筋に当たって、風間の言葉が耳の裏で弾けて。


多分、女の子にとったらめちゃめちゃ嬉しい言葉。

せやのになんで。


「……嫌、や…」

「まさ───」

「嫌や。やめんといて。…もっと、」


──もっと、酷くして。

優しくなんかせんといて。

もっと雑でええ。痛くてもええから。

首筋噛まれる痛みなんか、きれいさっぱり塗り替えるくらいの。


「───うん、」


多分風間は気づいてた。


「うん、わかったから……優子」



ウチがかっちゃんを必死で忘れようとして、それでも忘れられへんことに。



Tシャツを脱ぎ捨てた風間は、思ったよりずっと男っぽかった。

腰にかかる重み。そっから甘いしびれが走って、全身に回る。

風間の手がそっと伸びて、ウチの頬を撫でる。ついばむみたいなふんわりしたキスが、角度を変えて何回も降って。

おでこにも、鼻先にも、ほっぺたにも、上唇にも、下唇にも。