「…めっちゃめちゃ疑問やねん」
「なにが?」
ため息混じりにそう言うあたしに、すっかり余裕を取り戻したかっちゃんが再びゴロンとベッドに横になる。
この冬場やのに、床に直に座っとるからお尻がめっちゃ冷たい。
でもさっきまでかっちゃんがイチャコラしていたベッドに腰掛ける気は、さらっさらない。
「…なんでかっちゃんみたいな男がこんなモテるんやろ?って」
「そりゃお前、カッコいいから──」
「黙れ」
なんかムカつくから、空になったココアの缶投げたった。
それは見事にかっちゃんのオデコにヒット。
カチコーンてめっちゃエエ音がした。
でっかい図体したかっちゃんがベッドの上でうずくまる。
まるで無駄にデカい芋虫みたいや。
たまには痛い目見ればええねん。ざまあみろ、や。
そんなんおもて笑てたら、かっちゃんが仕返しと言わんばかりに思いっきりウチの顔めがけて枕を投げてきた。
「ぶ…っ!!」
渾身の力がこもった、低反発でもなんでもないジャラジャラした枕がクリーンヒット。
鼻がめっちゃジンジンする。
「〜っ、何すんねんかっちゃん!!」
「何ってお前が先に仕掛けてったんやろが」
「せやけど女の子の顔に向かって本気で投げるか普通!?」
「知らんわ!そもそもお前女の子ちゃうやろ」
「〜死ねっ!!」
お互いがバテバテになるまで、本気で枕を投げ合った。
マジでアホや。修学旅行の晩でもあるまいし。
しかも次の日ウチの腕は筋肉痛になって、せやのにかっちゃんは何ともなかったモンやから。
またイライラがぶり返したのは言うまでもない。



