昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


多分。ウチの顔も、めっちゃビックリしとる。

一瞬世界が止まったみたいんなって。


「……あ…」

「…あ…えと、おかえり〜。」


風間は驚いてポカンと垂れさがっとった口元をギュって引き上げて笑って。

喉の奥が誰かにつかまれたみたいに、ぎゅうってなった。

心臓の底が、ひりひりする。


「…あ〜…、ごめんな、いきなり来て」

「……かざま、」

「バイト先でなぁ。ご飯今日めっちゃ余って大量にもらったから持ってって…優子もう米ないって、言いよったし…」


風間の手にはおっきいナイロン袋。

暗闇の中、蛍光灯にテラテラ光る白。

風間が目を伏せた。睫毛の影が、ほっぺたに落ちる。


「…ほなゆう、俺帰るわ。風間くんもまたな」


背後から聞こえたのはかっちゃんの声。

前におるウチを押し退けて、一つ上の三階へ上がってく。かっちゃんの部屋。

303号室。

ぼすん、ぼすん。足音が消えて。


ドアが閉まる、軋んだおと。


「………風間、あの──、」

「良かったん?まさるくん」

「─────」

「ホンマ…俺、これ渡そう思てただけ、やし。米…米な。…うん」

「…かざ、」

「…あと、今日いきなり休んどったから…なんかあったんやないかなとか、ちょっと、思って…」


俯いて視線は伏せたまま、ウチの顔を見いひん。

きっと、風間、なんや勘違いしとる。

思わず風間の腕をつかんで、部屋に引っ張りこんでた。

203号室。かっちゃんの真下のウチの部屋、換気できてないムッとした空気が鼻をつく。