昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

かっちゃんより先に階段に足をかける。

後ろから、ちょっとズレてついてくる足音。ぼすん、ぼすんって、何とも言えない抜けた響き。


「ゆう」


ウチの背中に、かっちゃんの声が飛んだ。


「…なに」

「まだ怒っとん?」

「…は?なんでウチが怒らなあかんの」

「マリカーん時めっちゃキレとったやん」


…いや、だってあれは。


夕食前の空いた時間にお母さんとかっちゃんとマリカーの真剣勝負して。

かっちゃんがウチにばっかり亀の甲投げてくるから毎回一位逃した。8回くらい当てられてんでしかも他のキャラクターには当てへんくせにウチの後ろに着いた時だけ投げてきやがって8回も!!


「ホンマしつこいねんかっちゃん…」

「え、俺のせいちゃうやん。亀の甲羅ばっかり出るねんもん」


…ホンマ、亀の甲羅みたいな固いヤツ足のスネらへんに飛ばしたりたいわ。


「〜別にそんなんもう怒ってないけど!?」

「ならなんでさっきから眉間にシワ寄せて黙ってんの」


黙ってんの、て。

振り返る。もう二階に着く手前。

怒ってるとかやないし。そんなん、しゃべらんの、かっちゃんもやんか。


何か言おうと思って顔上げた。

そしたら、かっちゃんがおっきく目を見開いとって。


その目は、ウチじゃなくて、そのまだ向こうを見とった。


「……あ。」

「?なに、どした───、」


振り返る、そしたら見えたのは、自分の部屋のドアの前。

明るい、色素の。そこには。


「──────」


同じく不意をつかれたみたいなビックリ顔をした、風間がおった。