昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

「……」

「うっかり鉢合わせしたらなんか気まずいしなぁ」

「………ウチ逆パターン体験したことあるねんけど」

「ん?…ああ、さくらな。あったなぁそんなん」


偶然鉢合わせて、断りきれんくてかっちゃんちで一緒に飲んだ。

初めて目の当たりにした。いつものグータラワガママ帝王やない、女の子の彼氏としてのかっちゃん。


辺りが異常なほど静かに感じた。

長年慣れきったはずの実家やのに、全く知らん異空間に来てしもたみたいな気分になる。


「………」

「………」

「………なぁ、ゆう」

「……なに」

「………」

「何よ」


良かった。

良かった。

良かった。


もうこれで、金輪際すっぱりおしまいやから。

多分ウチらは、ウチとかっちゃんはこれからたまに顔合わすくらいの、世間一般のイトコ同士になっていくから。


そしたら初めから、ウチの気持ちなんかなかったことになる。

間違ってねじまがったトコから生まれてしもたモンは、早目に片付けんといけんから。


なぁ、かっちゃん。

かっちゃんはきっと、そんなモンがいつの間にやら生まれとったなんかつゆも知らんと思うけど。


「いや……。そろそろ、寝よか」

「……うん」


かっちゃんに背を向けて寝返りをうつ。

ほっぺたに当たる枕が生ぬるい。

かっちゃんも寝返りをうった気配がした。互いに右と左、違う方向むいて。


…今向かい合っとるのは、一対の背中だけ。