どんな展開なん、これ…。
突っ立ったまま、後ろ振り返ることもできへん。
しばらく顔見んやろなと思ってた。見ん方が、良かった。
そのかっちゃんに、まさかこんな風に会ってまうとか思てなかったし。
会うてないの、一週間ちょっとかいな。…勝手に気まずく思っとるんはウチだけかもしらんけど。
「あ〜…」
「ひ……っ!?」
いきなりかっちゃんが口開いたから、思わず変な声が出てしもた。
布団にゴロンと転がったかっちゃんは、眉をひそめてウチを見上げる。
「…なんでそんなビビんの」
「いや…べつに…」
「あ〜ホンマ疲れたわ…。本気で走ったの久しぶりやしな」
そう言って目を閉じる。
かっちゃんもお母さんからのメール見て慌てたんやろな。いっつも何するんもめんどいゆうとるかっちゃんが必死なん想像したらなんかウケるわ。
なんやかんや言うても、ウチもかっちゃんもおばあちゃん子なんは変わらんねん。
実家でこうやってかっちゃんとおるとか、なんかめっちゃ変な気がする。
ばあちゃん、ウチらの顔見てめっちゃ嬉しそうやった。こんな深夜やっていうのに。
…ちょっとだけ後ろめたい気持ちになるのは、なんでやろか。
ばあちゃんと、お母さんと…それと。
「…ゆう」
「へ?」
「いつまで突っ立っとんねん。電気消して」
「あ……せやな、うん」
風間の顔が、頭ん中に浮かぶ。
もういっこの後ろめたい。その正体が、何となくわかった気がした。
かっちゃんとこうやって、不可抗力やけど二人で一緒におるんはもちろんそうやけど。
風間は、知らんのや。
ウチとかっちゃんは、ただのイトコ同士やったわけやない。あの、一年前のクリスマスから。
…風間は、知らへんねん。



