昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜


騒動で目を覚ましたらしい。部屋から出てきたばあちゃんは腰さすっとったけど、めちゃめちゃ元気そうやった。

なんせ軽い打撲やから。

死にそうな顔で走ってきた自分がリアルに悲しい。

明日…てかもう今日か。学校あるからすぐ帰るってゆうたけど、ばあちゃんにせっかくやからゆっくりご飯でも食べていきって引き留められて。

…いや、違うな。

「ばあちゃんの味噌汁と学校の授業どっち取るねん!なぁ!?」

とかすごい形相で脅されてんな。


結局サボること公認されて、そのまま実家に泊まることんなった。

午前2時半。



「…なんで布団二組敷いとるん」


目の前には、リビングに持ってこられた2つの布団。

よっこらせ、とお母さんはその来客用の布団を並べて床に敷き出した。


「え?アンタとまさるくんのやろ。いっこでええの?」

「いや、かっちゃんのだけでええやん。ウチ自分の部屋のベッドで寝るし」

「あ、無理。アンタの部屋今物置小屋になっとるから入られへんわ」

「物置…っ!?」


アッサリそう言うと、お母さんはおっきいあくびをしながらじゃあまた数時間後な〜と寝室に戻っていってしもた。

物置小屋て。本人の許可くらいとってくれてもええやんか…。


しぃんと静かになったリビング。


走ったせいで、服の内側がベタついてじんわり湿っとる。