昼暮れアパート〜ふたりは、いとこ〜

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土日とか、待っとられへんかった。


実家周辺に着いたとき、時計は深夜一時を回ってた。


着とる服、もうベチョベチョや。ギリギリ終電に乗って、実家から一番近い駅で降りて。

そっからここまで、高校の体育祭以来の本気走り。


そういえば体育祭、いっつもリレーのアンカーやった。そんで違うクラス、かっちゃんも毎回アンカー選ばれとって。

ムカつくやろ、顔よくて背高くて運動できるとか女子にキャーキャー言われるんですよ〜て主張しとるようなモンやろ?

ウチも言われたで、キャーキャー言われましたけどね、女子に。

「イトコ対決や〜!!」とかゆうて無駄に盛り上げられた気がする。何年前になるんやろな。二年?三年?


親は来んかったけど、いっつも観客席にはばあちゃんの姿があった。

デッカい声張り上げて、ウチとかっちゃんに手を振って。



──ばあちゃん。



死ぬほど元気なばあちゃん。

ハチを素手で叩き潰すばあちゃん。ウチとかっちゃんの名付け親の、ばあちゃん。

二つ考えるんがめんどくさかったからって、似たような名前をつけたばあちゃん。


あの風邪も引いたことないようなばあちゃんが倒れるとか、何があってん。

ビックリした。ほんまビックリした。

お母さんに電話かけ直す余裕もなくて、すぐに家出て電車に飛び乗った。


なんやかんやでばあちゃんっ子やったから。

どうしよう。ばあちゃんに何かあったら。


もし死んでまうようなことんなったら、どうしよう────


考えたら、ちょっと泣きそうんなる。

もっとちゃんと、長い休みごとに地元帰ってきたらよかった。


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